DX戦略

経営の方向性、ふたつの根幹 

 行政書士倫理綱領には「行政書士は、国民と行政のきずなとして、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命とする」と明記されているにも関わらず、不正行為・違法行為により処分される行政書士が少ないながらも存在します。顧客の利益を差し置いて自己の利益を追求するというのは言語道断と言わざるを得ません。また、気づいたら不正に手を染めていた、ということも起こりえます。そのようなことがないよう相談者及び相談内容も的確に理解しなければなりません。私たち行政書士法人シトラスは顧客第一の姿勢を忘れないために経営理念を、その実現加速のためにDXビジョンを策定致しました。このふたつは私たちの行動の根幹です。

 デジタル庁が発足し、行政窓口も物理的なものから電子的なものへとシフトしています。今後は電子申請が更に普及し、行政による支援へのアクセス可否には個人・会社のデジタルデバイドが大きく関係すると考えています。

 経営理念にある通り、今後のデジタル社会においても従来と変わらず「必要とする全ての方へ行政書士業務を提供する」ために私たちはDXに真剣に取り組んできました。自社をDX-Readyの状態に持っていくことは生産性向上・労働時間削減・人材戦略上の競争力の源泉となると確信しています。

情報処理技術活用の方向性

 行政書士業は労働集約型のビジネスであり、受注件数が増えればそれを単純にパートタイマー増員で対応することが一般的です。また、非効率的な業務の進め方が慣習的に行われており、故に生産性・利益率の低下は免れ得ず、仕事内容・労働時間に比例してスタッフの待遇が向上するわけでもなく、他産業に比べて恵まれているとは言えない労働環境でした。スタッフの待遇が低いと業務完遂の遅延やサービスの質低下などが当然に起こりえます。このような環境は申請内容不備・却下・不採択、ひいては不正の温床に繋がり、顧客に大きな不利益を与えます。

 行政書士法人シトラスはそのような現状に一石を投じるべく、少ない人数でも効率的に業務を行える環境を整備することで生産性向上と労働時間削減を同時に実現させ、より多くの顧客に高付加価値の行政書士業務を提供するべく、DXに取り組んで参りました。私たちは2030年までに九州で最も効率的な働き方の行政書士事務所となることを宣言します。

企業経営及びIT導入の具体的5方策

 私たちの具体的方策は、書類作成の省力化・申請&契約の電子化・対顧客折衝の省力化・データ取扱の効率化・情報共有の遠隔化の5つです。行政書士業界で従来行われてきた非効率的な仕事の進め方を、ITを活用することで効率的な運用に改めて参ります。

 私たちは創業当初より社内で取り扱う書類は紙ベースではなく、100%ペーパーレスでデータ管理をしてきたことでクラウド管理や電子申請、書類半自動生成システム開発と、DX推進の上で良い連鎖を生み出しています。ITを活用することで顧客とのやり取りに要する時間を大幅に削減することができており、非対面で業務を遂行できたことはコロナ禍においても大きな価値創造に繋がっております。

 ITでの業務効率化を通して、スピードをもって多くの顧客に行政書士業務を提供することができたこれまでのDXの一連の流れによって、自分たちの方向性が間違っていないことの確信を深めました。

 また、九州内の他士業事務所と当事務所のメソッドを共有し、地域全体の利益最大化に波及できるシステムの構築に取り組んで参ります。経営理念の実現のためには業界全体の利益を通して日本国全体へ貢献していくことが必要であると考えています。

DX推進体制・人材育成計画

 更なるDX推進のため、2022年10月1日付でDX推進室を立ち上げ、松岡哲司をDX推進室長に選任致しました。DX推進室長を中心に進捗状況管理および人材育成を重点的に推進していきます。

DX環境整備の具体的方策

 私たちは創業当初からクラウド導入・ペーパーレス・VBAでの業務効率化に取り組んできたため、大企業・老舗にありがちなレガシーシステムといったものがありません。また、まだまだ小規模であるため、私たちのDXは1日単位ではなく1時間単位で進んでいます。これらのメリットを活かしてスピード感のあるOJTを日々行い、DXをアップデートしています。

 当事務所ではユニークなDX環境整備の取り組みとして、VBA・Pythonによる独自システム、Raspberry-piを活用したオリジナルデバイスの開発を現在行っています。自分たちが使いやすい状況に合わせて、好きな時に、好きなだけITを取り入れることが可能となっています。これらは無料~5万円程度と超低コストであるため、高利益率維持と人材育成機会創出を同時に実現できており、今後も継続して参ります。

DX戦略達成状況に係る指標

 生産性向上・労働時間削減によるKPIはそれぞれ、2025年に電子契約・電子申請300件/年、有給休暇取得率100%達成とし、全社的課題である情報セキュリティの更なる向上のために情報セキュリティスペシャリストを1名以上育成もしくは採用することを自分たち自身に課すことで、より顧客に貢献できるマインド醸成・体制整備を進めて参ります。

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私たちのDX推進への決意

 行政書士法人シトラスは新しい行政書士業務の在り方を模索し、DX推進に取り組んで参りました。デジタル庁の創設・行政文書押印廃止・電子署名・オンライン面談・電子契約など、既に行政主導によるDXは始まっていますが、それに対応した行政書士事務所は一握りです。現状、DXとは程遠い段階にある行政書士業界において、潮流に乗り遅れた行政書士は自然淘汰され、変化を受け入れたもののみが生き残っていくでしょう。

 私たちは顧客との契約から申請代行完了までをオンライン上で完結できる一連の仕組みを導入し、生産性向上・労働時間削減にCOVID-19対策の面もプラスして、これまで様々な施策に取り組んで参りました。現在は自社で書類半自動生成システム・デバイスの開発に取り組んでおります。今後は一連のDXによって蓄積された納期短縮が可能となった要因を分析し、顧客満足度向上について検討を重ねて参ります。

 DXに取り組むことで、日本の中心から遠く離れた長崎においても首都圏と遜色のないサービスを提供し続け、デジタル・デバイドの是正及び行政サービスへのブリッジングが可能な、デジタル化社会へ対応した行政書士法人としての地位を確立して参ります。

2022年12月16日   

代表社員 松岡いずみ